1998年フランス大会の初出場から2026年北中米大会まで、サッカー日本代表に選ばれた延べ186名(ユニーク121名)。その選手たちがどの都道府県で育ったのかを、出身高校およびユースクラブの所在地ベースで集計しました。前回の輩出組織ランキングに続く”育成データシリーズ第3弾”です。サッカー王国・静岡を筆頭に、首都圏・関西の二大都市圏、そして九州・中国・四国まで、日本サッカーの育成地図がデータで浮かび上がります。
※本ランキングは「出身高校・ユースクラブの所在地」を基準に集計しています。生まれた県(出身地)とは異なる場合があります(例:町野修斗は三重県のご出身ですが、高校が大阪の履正社高校のため大阪に集計/長友佑都は愛媛出身→東福岡〈福岡〉)。あわせて「出身地ベース」「人口あたり」のランキングも掲載しています。
- 1998〜2026 全8大会・121名の日本代表が育った都道府県ランキング(TOP10)
- 全47都道府県の輩出人数 完全一覧
- 地域ブロック別の輩出数(関東/関西/東海/九州 など)
- 静岡県が圧倒的1位の理由と、未輩出県12県の存在
集計ルールと対象
- 対象:1998フランス/2002日韓/2006ドイツ/2010南ア/2014ブラジル/2018ロシア/2022カタール/2026北中米 の全8大会・登録メンバー
- 都道府県の判定(①育成県ベース):高校サッカー部出身者は高校所在地、クラブユース出身者はクラブの本拠地で集計(=”育成県”ベース)
- 2つの見方を併記:上記の「育成県(高校・クラブ所在地)」に加え、もう一つの見方として選手が生まれ育った「出身地」ベースのランキングと、人口10万人あたりの輩出率も掲載しています。生まれと育ちが異なる選手は育った県で集計し、海外で育った2名(田中マルクス闘莉王・三都主アレサンドロ)は出身地版では別枠としています。
- カウント:1人1県で集計(複数大会出場でも1名としてカウント)
- 対象外:日本の高校・ユースを経ずに代表入りした選手(呂比須ワグナーなど1名)
輩出県ランキング TOP10

1位は静岡県の19名と圧倒的。2位の神奈川(12名)を7名引き離す独走です。3位大阪(11名)、4位東京(9名)、5位千葉(8名)と続き、上位5県だけで59名(全体の約半数)を輩出。6位は鹿児島5名、7位タイで茨城・埼玉・広島・熊本が4名、11位タイで宮城・群馬・山梨・愛知・三重の5県が3名で並びます。
🔍 もう一つの見方|「出身地」と「人口比」で見るとどう変わる?
このランキングは当初、選手の「出身高校・ユースクラブの所在地」で集計していました。ただ、強豪校やJクラブのユースには全国から才能が集まるため、所在地ベースだと一部の県に偏ります(=育成の集積地が上位に来る)。そこで読者の方からのご指摘を受け、「選手が実際に生まれ育った出身地」でも集計し直し、さらに人口比でも比較しました。3つの見方を並べると、日本サッカーの育成地図がより立体的に見えてきます。
① 出身地(生まれ育った県)ランキング TOP10
各選手のプロフィール上の出身地(主に生まれ育った都道府県)で集計し直したものです。高校所在地版と比べると、強豪校のある県の数字が減り、地方県が浮上します。
| 順位 | 都道府県 | 出身地版 | 高校所在地版 | 差 | 主な出身選手 |
| 1 | 静岡 | 18名 | 19名 | -1 | 中山雅史、伊東輝悦、伊藤洋輝、内田篤人、名波浩、小野伸二、川口能活、市川大祐、長谷部誠、後藤啓介、西澤明訓、高原直泰、服部年宏、平野孝、斉藤俊秀、相馬直樹、矢野貴章、大島僚太 |
| 2 | 神奈川 | 16名 | 12名 | +4 | 中村俊輔、伊東純也、小川航基、早川友基、板倉滉、森岡隆三、遠藤航、齋藤学、戸田和幸、茂庭照幸、三笘薫、田中碧、久保建英、森本貴幸、山根視来、岡野雅行 |
| 3 | 大阪 | 10名 | 11名 | -1 | 南野拓実、大黒将志、守田英正、宮本恒靖、柿谷曜一朗、瀬古歩夢、稲本潤一、前田大然、東口順昭、本田圭佑 |
| 4 | 千葉 | 7名 | 8名 | -1 | 中村敬斗、名良橋晃、明神智和、玉田圭司、鈴木唯人、阿部勇樹、酒井宏樹 |
| 5 | 東京 | 7名 | 9名 | -2 | 中村憲剛、塩貝健人、権田修一、武藤嘉紀、相馬勇紀、中村航輔、坪井慶介 |
| 6 | 兵庫 | 5名 | 2名 | +3 | 堂安律、香川真司、加地亮、岡崎慎司、昌子源 |
| 7 | 埼玉 | 5名 | 4名 | +1 | 中澤佑二、原口元気、川島永嗣、鈴木彩艶、渡辺剛 |
| 8 | 三重 | 4名 | 3名 | +1 | 山口蛍、町野修斗、中西永輔、浅野拓磨 |
| 9 | 熊本 | 4名 | 4名 | ±0 | 土肥洋一、巻誠一郎、植田直通、谷口彰悟 |
| 10 | 鹿児島 | 4名 | 5名 | -1 | 城彰二、大迫勇也、遠藤保仁、大迫敬介 |
最大の変化は神奈川(+4)と兵庫(+3)。一方、強豪校を抱える静岡・大阪・東京などは出身地ベースだと数字がやや下がります。
② 人口10万人あたりの輩出率|”大都市が多いだけ”ではない
「人数ランキングは結局、人口の多い都市部が有利なだけでは?」という見方はもっともです。そこで人口100万人あたりの輩出数で見直すと、景色が一変します。
| 順位 | 都道府県 | 100万人あたり | 輩出数 | 県人口 |
| 1 | 静岡 | 4.96人 | 18名 | 363万人 |
| 2 | 鹿児島 | 2.52人 | 4名 | 159万人 |
| 3 | 熊本 | 2.30人 | 4名 | 174万人 |
| 4 | 三重 | 2.26人 | 4名 | 177万人 |
| 5 | 愛媛 | 2.26人 | 3名 | 133万人 |
| 6 | 滋賀 | 2.13人 | 3名 | 141万人 |
| 7 | 大分 | 1.79人 | 2名 | 112万人 |
| 8 | 神奈川 | 1.73人 | 16名 | 924万人 |
| 9 | 群馬 | 1.55人 | 3名 | 194万人 |
| 10 | 島根 | 1.49人 | 1名 | 67万人 |
人数では2位の東京は、人口比だと約0.50人/100万人でTOP10圏外。大阪も12位前後まで下がります。逆に静岡が断トツで、鹿児島・熊本・三重・愛媛・滋賀といった”地方県”が上位を占めました。「人口の割にどれだけ代表選手を生むか」で見ると、サッカーが本当に根づいている県が浮かび上がります。
③ 「サッカー留学」で出身地と高校が違う28人
出身地版と高校所在地版の差を生んでいるのが、強豪校・名門ユースへの“サッカー留学”です。たとえば本田圭佑は大阪出身ですが高校は石川の星稜、長友佑都は愛媛出身ですが福岡の東福岡、香川真司は兵庫出身ですが中学から仙台(宮城)へ。地方の有望株が全国の名門に集まる構図がはっきり分かります。
| 選手 | 出身地(生まれ育ち) | 高校・ユース所在地 |
| 山口蛍 | 三重 | 大阪 |
| 町野修斗 | 三重 | 大阪 |
| 宇佐美貴史 | 京都 | 大阪 |
| 松井大輔 | 京都 | 鹿児島 |
| 堂安律 | 兵庫 | 大阪 |
| 香川真司 | 兵庫 | 宮城 |
| 昌子源 | 兵庫 | 鳥取 |
| 中村敬斗 | 千葉 | 東京 |
| 駒野友一 | 和歌山 | 広島 |
| 渡辺剛 | 埼玉 | 山梨 |
| 前田大然 | 大阪 | 山梨 |
| 東口順昭 | 大阪 | 京都 |
| 本田圭佑 | 大阪 | 石川 |
| 伊野波雅彦 | 宮崎 | 鹿児島 |
| 佐野海舟 | 岡山 | 鳥取 |
| 森島寛晃 | 広島 | 静岡 |
| 鎌田大地 | 愛媛 | 京都 |
| 長友佑都 | 愛媛 | 福岡 |
| 中村航輔 | 東京 | 千葉 |
| 坪井慶介 | 東京 | 三重 |
| 中田浩二 | 滋賀 | 東京 |
| 久保建英 | 神奈川 | 東京 |
| 森本貴幸 | 神奈川 | 東京 |
| 山根視来 | 神奈川 | 茨城 |
| 岡野雅行 | 神奈川 | 島根 |
| 大久保嘉人 | 福岡 | 長崎 |
| 吉田麻也 | 長崎 | 愛知 |
| 大迫敬介 | 鹿児島 | 広島 |
- 出身地は各選手のプロフィール(主に生まれ育った都道府県)を基準にしています。
- 三笘薫(生まれ:大分)・本田圭佑(生まれ:広島)など「生まれ」と「育ち」が異なる選手は、育った県で集計しています。
- 田中マルクス闘莉王・三都主アレサンドロは高校から来日し主に海外で育ったため、出身地ランキングからは別枠としています(高校所在地版には含む)。
ここからは、最初に紹介した育成県(高校・クラブ所在地)ベースのランキングを、地域別や名門校の視点でさらに詳しく掘り下げていきます。
全47都道府県 完全一覧
輩出ゼロの未輩出県も含めて全47都道府県を掲載。実際にW杯代表を輩出したのは34都府県、13県は1998〜2026の8大会で1人も輩出していません。
| 順位 | 都道府県 | 人数 | 高体連 / ユース | 輩出選手 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 静岡 | 19名 | 16 / 3 | 中山雅史、伊東輝悦、伊藤洋輝、内田篤人、名波浩、大島僚太、小野伸二、川口能活、市川大祐、平野孝、後藤啓介、斉藤俊秀、服部年宏、森島寛晃、相馬直樹、矢野貴章、西澤明訓、長谷部誠、高原直泰 |
| 2 | 神奈川 | 12名 | 6 / 6 | 三笘薫、中村俊輔、伊東純也、小川航基、戸田和幸、早川友基、板倉滉、森岡隆三、田中碧、茂庭照幸、遠藤航、齋藤学 |
| 3 | 大阪 | 11名 | 2 / 9 | 南野拓実、堂安律、大黒将志、宇佐美貴史、守田英正、宮本恒靖、山口蛍、柿谷曜一朗、瀬古歩夢、町野修斗、稲本潤一 |
| 4 | 東京 | 9名 | 3 / 6 | 中村憲剛、中村敬斗、中田浩二、久保建英、塩貝健人、森本貴幸、権田修一、武藤嘉紀、相馬勇紀 |
| 5 | 千葉 | 8名 | 4 / 4 | 中村航輔、名良橋晃、明神智和、玉田圭司、田中マルクス闘莉王、酒井宏樹、鈴木唯人、阿部勇樹 |
| 6 | 鹿児島 | 5名 | 5 / 0 | 伊野波雅彦、城彰二、大迫勇也、松井大輔、遠藤保仁 |
| 7 | 茨城 | 4名 | 3 / 1 | 上田綺世、山根視来、曽ヶ端準、鈴木隆行 |
| 7 | 埼玉 | 4名 | 2 / 2 | 中澤佑二、原口元気、川島永嗣、鈴木彩艶 |
| 7 | 広島 | 4名 | 1 / 3 | 大迫敬介、森重真人、槙野智章、駒野友一 |
| 7 | 熊本 | 4名 | 4 / 0 | 土肥洋一、巻誠一郎、植田直通、谷口彰悟 |
| 11 | 宮城 | 3名 | 2 / 1 | シュミット・ダニエル、今野泰幸、香川真司 |
| 11 | 群馬 | 3名 | 3 / 0 | 小島伸幸、山口素弘、松田直樹 |
| 11 | 山梨 | 3名 | 3 / 0 | 中田英寿、前田大然、渡辺剛 |
| 11 | 愛知 | 3名 | 1 / 2 | 吉田麻也、秋田豊、菅原由勢 |
| 11 | 三重 | 3名 | 3 / 0 | 中西永輔、坪井慶介、浅野拓磨 |
| 16 | 滋賀 | 2名 | 2 / 0 | 乾貴士、井原正巳 |
| 16 | 京都 | 2名 | 2 / 0 | 東口順昭、鎌田大地 |
| 16 | 兵庫 | 2名 | 2 / 0 | 加地亮、岡崎慎司 |
| 16 | 鳥取 | 2名 | 2 / 0 | 佐野海舟、昌子源 |
| 16 | 島根 | 2名 | 2 / 0 | 小村徳男、岡野雅行 |
| 16 | 福岡 | 2名 | 1 / 1 | 冨安健洋、長友佑都 |
| 16 | 大分 | 2名 | 0 / 2 | 清武弘嗣、西川周作 |
| 23 | 青森 | 1名 | 1 / 0 | 柴崎岳 |
| 23 | 岩手 | 1名 | 1 / 0 | 小笠原満男 |
| 23 | 新潟 | 1名 | 0 / 1 | 酒井高徳 |
| 23 | 富山 | 1名 | 1 / 0 | 柳沢敦 |
| 23 | 石川 | 1名 | 1 / 0 | 本田圭佑 |
| 23 | 岐阜 | 1名 | 1 / 0 | 鈴木淳之介 |
| 23 | 奈良 | 1名 | 1 / 0 | 楢﨑正剛 |
| 23 | 岡山 | 1名 | 1 / 0 | 青山敏弘 |
| 23 | 山口 | 1名 | 1 / 0 | 岩政大樹 |
| 23 | 愛媛 | 1名 | 1 / 0 | 福西崇史 |
| 23 | 高知 | 1名 | 1 / 0 | 三都主アレサンドロ |
| 23 | 長崎 | 1名 | 1 / 0 | 大久保嘉人 |
| – | 北海道 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 秋田 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 山形 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 福島 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 栃木 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 福井 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 長野 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 和歌山 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 徳島 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 香川 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 佐賀 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 宮崎 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
| – | 沖縄 | 0名 | 0 / 0 | (未輩出) |
地域ブロック別の輩出数
| 地域 | 合計 | 高体連 | ユース |
|---|---|---|---|
| 北海道・東北 | 5名 | 4 | 1 |
| 関東 | 40名 | 21 | 19 |
| 北信越 | 3名 | 2 | 1 |
| 東海 | 26名 | 21 | 5 |
| 関西 | 18名 | 9 | 9 |
| 中国 | 10名 | 7 | 3 |
| 四国 | 2名 | 2 | 0 |
| 九州・沖縄 | 14名 | 11 | 3 |
関東+東海+関西=全体の約7割。一方で四国・北信越・北海道は合計でも数名と、地域格差が大きいのも事実。それでも鳥取(米子北)・島根(立正大淞南)・山口(岩国)・愛媛(新居浜工業)など、地方の名門校から代表入りした選手がいるのは、日本サッカーの裾野の広さを示しています。
なぜ静岡県が圧倒的1位なのか
静岡県の19名の内訳は、高体連16名・ユース3名。清水東5名、清水商業4名、東海大第一3名、藤枝東2名と、”静岡の名門高校4校”だけで14名を占めます。これはJリーグ発足前から続く「静岡サッカー王国」の伝統そのもの。プラスして、ジュビロ磐田U-18(2名)と清水エスパルスユース(1名)からもクラブユース育成組が代表入りしており、高体連・ユース両輪で代表選手を輩出し続けているのが静岡の強さです。
2026年北中米W杯代表 26名の育成県内訳
現役の2026年代表メンバーがどの県で育ったかを抜粋した内訳です。各選手の詳しい育成遍歴は育成遍歴まとめ記事でご確認ください。
| 育成県 | 人数 | 2026代表選手 |
|---|---|---|
| 神奈川 | 6名 | 早川友基、板倉滉、遠藤航、伊東純也、田中碧、小川航基 |
| 東京 | 3名 | 中村敬斗、久保建英、塩貝健人 |
| 山梨 | 2名 | 渡辺剛、前田大然 |
| 静岡 | 2名 | 伊藤洋輝、後藤啓介 |
| 大阪 | 3名 | 瀬古歩夢、堂安律、町野修斗 |
| 福岡 | 2名 | 長友佑都、冨安健洋 |
| 茨城 | 1名 | 上田綺世 |
| 埼玉 | 1名 | 鈴木彩艶 |
| 千葉 | 1名 | 鈴木唯人 |
| 岐阜 | 1名 | 鈴木淳之介 |
| 愛知 | 1名 | 菅原由勢 |
| 京都 | 1名 | 鎌田大地 |
| 鳥取 | 1名 | 佐野海舟 |
| 広島 | 1名 | 大迫敬介 |
| 熊本 | 1名 | 谷口彰悟 |
まとめ
歴代W杯日本代表121名を、3つの見方でランキングしました。育成県(高校・クラブ所在地)では静岡が19名で圧倒的1位、神奈川・大阪・東京と都市圏が続きます。ただし「生まれ育った出身地」で見直すと神奈川や兵庫が伸び、人口あたりでは静岡・鹿児島・熊本・愛媛といった地方県が上位に。東京は人口比だとTOP10圏外で、「都市部が多いだけ」では説明できない育成地図が見えてきます。
その差を生んでいるのが、本田圭佑(大阪→石川)や長友佑都(愛媛→福岡)に代表される強豪校への”サッカー留学”です。どこで生まれ、どこで育ち、どこで才能を伸ばしたか——3つの地図を重ねると、日本サッカーの育成の実像が立体的に見えてきます。クラブユース育成が定着した今、地方からの代表ルートがどう変わっていくか、次の8年(2030・2034大会)も楽しみです。
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